アントレプレナーの教科書  スタートアップにはスタートアップのやり方がある!

アントレプレナーの教科書

昨年の暮れにこの本を一度読んだのですが、ほとんど消化することがでませんでした。

しかし、自分自身のライフワークとしてリーンスタートアップをマスターしようと決めた
からにはこの本を外すことはできないのでもう一度読んでみることにしました。


半年前に描いたビジネスが計画通りに進んでいない今、本書を読んだところ、
思わず膝を叩きたくなるところが多く、身に染みて理解することができました。
それと同時に半年前に理解していたらなぁと後悔の思いも湧いてきました。


本書で書かれているリーンスタートアップの手法は起業だけでなく、新規事業や
既存のビジネスのブレイクスルーを狙う際にも有用であるので、すべてのビジネス
パーソンに理解してもらいたいと思います。


特にテック系のスタートアップにとっては、「リーンスタートアップ」と
クラウド」、「ソーシャルメディア」の3つが三種の神器
になると思うので、
これらについては十分に理解しておきたいところです。


まさに本書は教科書と言える本だと思うので、いつでも手の届くところに置いておこうと思います。



===以下、まとめ===



■顧客発見
顧客発見の目的は、「当初描いた自社の市場と顧客に関する仮説を事実にかえること」
そして、以下の問いに答えることである。


・顧客が解決したい課題を特定できたか?
・そのような顧客にニーズを自社製品で解決できるか?
・ビジネスモデルは継続可能でかつ利益がでるモデルか?
・製品を売り歩くのに十分なだけの学習を終えているか?




■顧客実証
誰が買うか、何故買うか、いくらで買うかという仮説を実証する。
エバンジェリストユーザーに対しどのように販売したのかを学習し、
ロードマップを作成する。(プロセスの可視化)




■顧客開拓
次の2点を明確にする
(1)自社がどのタイプの市場に属するのか
(2)顧客と顧客の欲求に関する深い理解に基づき、ポジショニングのためのメッセージをどうすべきか


市場タイプ
・既存市場
・ローエンドを狙った再セグメント化市場
・ニッチを狙った再セグメント化市場
・新規市場


顧客開拓の構成要素
・初年度目標
・企業と製品のポジショニング
・企業の市場参入と製品の市場投入
・需要開拓(広告、PR、展示会)




■組織構築
メインストリームの顧客基盤の獲得ため、市場タイプに合わせ営業、マーケティング、および
事業戦略が必要である。そして組織はミッションを中心に構築される。

・初期のエバンジェリストユーザー顧客獲得からメインストリーム顧客基盤の構築へと移行する
・会社の組織、管理体制、企業文化を今後の事業拡大の基盤になるように変えて行く
・会社が現在のステージまで来るのに役立った発見と学習という考え方を維持すべく即応性の高い部門を構築する




【まとめ】
本書で繰り返し述べられているのは、スタートアップにはスタートアップのやり方があるということです。顧客発見と顧客実証のステップにおいて既知のことは何もなくすべて検証中の仮説であるわけだから、これまでの知識や経験はほとんど役に立たない訳です。つまり、簡単に言うと大企業と同じことをやっていたら勝てないということです。


4つのステップを簡単にまとめると、顧客を発見し理解すること(顧客発見)→エバンジェリストユーザーへ販売し実証すること(顧客実証)→市場と製品需要を開拓すること(顧客開拓)→組織を構築すること(組織構築)となり、特に最初の2つのステージが重要になります。差別化とポジショニングを明確にし、それぞれのステップで必要なことを繰り返しながら、先へと進まなければなりません。


本書は10数年前に書かれたものですが、まさに起業の教科書といえる本です。リーンスタートアップの手法はこれからますます応用が広がると思います。理由は2つ。ひとつはクラウドサービスの充実。もう一つはソーシャルメディアの浸透です。クラウドソーシャルメディアがもたらす社会の変化とリーンスタートアップによる起業が化学反応を起こすことにより、イノベーションが生まれる予感がします。



▼こちらのスライドも参照いただければより理解できると思います。

【Eric Ries at Startup Lessons Learned sllconf 2011 - Japanese Translation】




リーンスタートアップジャパンのFBページ
http://www.facebook.com/LeanStartupJapan

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最後に、同書をより深く理解するために読んでおきたい2冊を紹介します。

キャズム 【キャズム
イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press) 【イノベーションのジレンマ


上記2冊はマストですが、余裕があればこちらも。
ライフサイクル イノベーション 成熟市場+コモディティ化に効く 14のイノベーション 【ライフサイクルイノベーション